美容師さんと相談して、自分の髪に合ったヘアカラーを選ぼう!
カラーリング剤の種類と分類
お客様、ヘアカラーを選ぶ際には、どんな種類のカラー剤を使うかが非常に重要です。
なぜなら、それがお客様の髪と頭皮の健康に大きく影響するからです。
市場には様々なヘアカラー剤があり、それぞれに特徴があります。
日本では、ヘアカラー剤は大きく分けて「染毛剤」と「染毛料」の2つに分類されます。
染毛剤は医薬部外品に分類され、髪の色を長持ちさせる効果があります。
一方、染毛料は化粧品に分類され、より優しく髪に色をつけることができます。
さらに、染毛料には「永久染毛料」、「半永久染毛料」、「一時染毛料」という3つのタイプがあります。
永久染毛料は色持ちが良く、根本から色を変えることができます。
半永久染毛料は少しずつ色が落ちるため、自然な変化を楽しめます。そして、一時染毛料はイベントなど短期間だけ髪色を楽しみたい時に適しています。
酸化染毛剤
酸化染毛剤は、第1剤と第2剤の2つの成分から構成されています。第1剤は通常pH9~11のアルカリ性で、酸化染料を含んでいます。第2剤はpH3~4の酸性で、安定化された過酸化水素を含んでいます。使用する直前にこれら2つの剤を混ぜ合わせることが、染毛の重要な工程です。
この混合物は、髪の中のメラニン色素を酸化分解し、髪を明るくすると同時に酸化染料の反応を促進させ、髪に色を付けます。つまり、酸化染毛剤を使うと、脱色と染色が同時に行われるのです。
ただし、酸化染毛剤を使用した後は、約1週間はパーマを避けることが推奨されます。これは、染毛やパーマによって髪が不安定になり、皮膚が敏感になるため、トラブルを避けるためです。
商品名としては「ヘアカラー」「ヘアダイ」「白髪染め」「オシャレ染め」などがあります。特徴としては、酸化染毛剤は色持ちが良く(約2~3ヶ月)、白髪染めから明るいカラーまで対応可能です。ただし、毛髪にややダメージを与えることや、かぶれるリスクもあるので注意が必要です。
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非酸化染毛剤
非酸化染毛剤についてお話しします。
この種類の染毛剤は、昔の「オハグロ式」とも呼ばれていましたが、最近では市場で見かけることが少なくなりました。
非酸化染毛剤の染毛原理は、髪の中で鉄イオンとタンニンなどのポリフェノールが反応して黒色の色素を生成し、髪を染めるというものです。
過酸化水素を使用しないため、髪へのダメージは少ないのですが、脱色する能力がないため、髪を明るくすることはできません。そのため、使用用途は主に黒っぽい白髪染めに限られます。
非酸化染毛剤は酸化染料を使用していないので、酸化染毛剤にかぶれやすい方でも使用できる可能性があります。
商品名としては「オハグロ式白髪染め」があります。主成分は多価フェノール類金属イオンで、液性はアルカリ性です。
特徴としては、色の明るさを上げることはできず、黒っぽい色に限られます。
また、パーマがかかりにくいという点もあります。色持ちは約1ヶ月程度です。
脱色剤・脱染剤
脱色剤はブリーチ剤とも呼ばれ、一般的に2剤式で使用されます。これは、前述の酸化染毛剤と似た組成をしており、酸化染料を除いています。
脱色剤に含まれるアルカリ剤で活性化された過酸化水素がメラニン色素を酸化分解することで、髪の色を明るくします。
次に、脱染剤についてですが、これも一般的に2剤式です。
第1剤には過硫酸アンモニウムなどの酸化助剤やケイ酸ナトリウムなどのアルカリ剤が、第2剤には過酸化水素水が含まれています。これらの成分が、酸化染料が酸化重合してできた色素を酸化脱色し、染毛した色を薄くします。
ただし、過硫酸塩に対してアレルギー反応を示す人もいるので、使用には注意が必要です。
商品名としては、「ヘアブリーチ」「ライトナー」「パウダーブリーチ」などがあります。
これらは毛髪を明るくする機能が強いため、「ハイブリーチ」「ウルトラブリーチ」といった名称で呼ばれることもあります。
特徴としては、メラニン色素の分解による脱色効果があり、染料が配合されていないため、毛髪へのダメージが大きいことが挙げられます。
酸性染毛料
次にご説明するのは酸性染毛料についてです。市場では「酸性カラー」や「ヘアマニキュア」として知られており、酸化染毛剤に次ぐ普及度を誇るヘアカラー剤です。
酸性染毛料に含まれる酸性染料はマイナスの電荷を持っており、髪のケラチンタンパク質のプラス部分とイオン結合を行うことで、髪に色を付けます。
この特性から、タンパク質に色がつきやすく、頭皮から離して染める必要があります。色持ちは約3~4週間です。
酸性染毛料には酸化剤が含まれていないため、脱色力は持っていません。
そのため、髪を明るくすることはできませんが、髪への作用が柔和でダメージを与えにくいのが特徴です。
また、パーマ施術後でも間隔を空けずにカラーリングが可能で、パッチテストも不要です。
商品名としては「ヘアマニキュア」があります。これは半永久染毛剤の一種で、化粧品に分類されます。
主成分は酸性染料とクエン酸で、液性は酸性です。特徴としては、明度を上げることはできず、毛髪へのダメージがほとんどなく、地肌に色がつきやすい点があります。
新規染毛料
このタイプの染毛料は、2001年の化粧品規制緩和に伴い、化粧品への配合が可能になった塩基性染料やHC染料を使用しています。市場では「塩基性カラー」とも呼ばれています。
塩基性染料の特徴は、大きな分子径を持ち、分子構造内にプラスの電荷を有している点です。これにより、髪のケラチンタンパク質のマイナス部分とイオン結合します。そのため、ダメージを受けた髪(マイナス部分が多い)に染料が吸着しやすく、濃く染まることがありますが、ムラになることもあります。色持ちは約3週間ですが、肌に染まりにくいという利点があります。また、カチオン性界面活性剤との相性が良いため、高いトリートメント効果を持つカラートリートメントとしての製品化がされています。
商品名としては、「カラーリンス」「トリートメントカラー」などがあります。これらは半永久染毛剤の一種で、化粧品に分類されます。主成分は塩基性染料とHC染料で、液性は中性からアルカリ性です。特徴としては、明度を上げることはできず、毛髪へのダメージがなく、地肌についても取れやすい点があります。
毛髪着色料
次にご紹介するのは毛髪着色料です。これは、一時的に髪の表面を着色するための染毛剤で、一般市場では「カラースプレー」「カラームース」などと呼ばれています。
スプレータイプ、マスカラタイプ、スティックタイプ、クリームタイプなど、さまざまな形態の製品があります。
毛髪着色料の染着メカニズムは、カーボンブラック、黄酸化鉄、ベンガラなどの無機顔料や法定色素を着色剤として使用し、樹脂や油脂などの付着剤で一時的に髪の表面に着色します。
特に便利な点は、一度のシャンプーで完全に洗い流せることです。
商品名としては、「カラースプレー」「カラームース」「カラージェル」「カラーワックス」などがあります。
これらは一時染毛料に分類され、化粧品として扱われます。
主成分は無機顔料、油溶性染料、法定色素で、特徴としては一時的な着色であり、毛髪へのダメージがなく、一度のシャンプーで落とすことができます。
その他のヘアカラー剤
中性染毛剤
- 特徴: 中性染毛剤は、永久染毛剤の良い部分を取り入れたカラーリング方法です。明度を適度に上げつつ、化学変化を最小限に抑えることで髪へのダメージを減少させています。
- 印象: 良いところ取りのような感じですが、どちらかというと中間の印象で、対応範囲がやや限定される可能性があります。
酸化染毛剤アミノ酸カラー
- 特徴: 髪の毛はケラチンタンパク質で構成されており、それは18種類のアミノ酸から成り立っています。アミノ酸カラーは、カラーリングによって失われがちなアミノ酸を補修しながら染めるため、ヘアダメージを低減します。アルカリの量も30%減少しており、低刺激で髪に優しいです。カラー剤特有の臭いがなく、ノンシリコン、ノンカチオンで頭皮にも優しい製品です。
天然染毛剤(ヘナ・草木染め)
- 特徴: トリートメントとカラーの相乗効果があり、純植物性の安全なイメージを持つ染毛剤です。しかし、稀に植物によるアレルギー反応を引き起こす場合があるため、パッチテストを行うことをお勧めします。
まとめ
髪質やご自身のスタイルに合わせた最適なカラー剤を選ぶためには、美容師さんとの相談が非常に重要です。
美容師さんは、髪の健康状態や質感、お客様のライフスタイルや好みに応じて、最適なカラー剤の選択や施術方法を提案してくれます。
また、ヘアケアのアドバイスも受けることができ、カラーリング後の髪の健康を維持するのに役立ちます。
お客様の理想とするヘアカラーを実現するために、美容師さんとのコミュニケーションを大切にしましょう!
本記事は、30年以上の豊富な経験を持つ美容師であり、全国にサロンを展開する経営者、高橋正和氏の監修のもと作成されました。
専門知識と実践経験に基づき、正確かつ実用的な情報を提供することを目指しています。
監修 | |
高橋正和(美容師/サロン経営者) |